5.鉱山線

1.Idaho Springs Mine Kit HO scale

制作期間:2017年9月~2018年7月
キャンベルのIdaho Springs Mine Kit HO scaleを注文したことから、鉱山鉄道のミニレイアウトを作ることになりそうです。

次に何を作ろうかと考えているときに、なんとなく開いたキャンベルのウェブサイトでIdaho Springs Mine Kit HO scaleを見つけ、気になっていたのですが、よりによって7月上旬の円安ピークの頃に発注したところ、1週間ほどで届きました。
箱を開けると、原寸大の図面、組立て説明書、ボール紙、木の板材や角材、アルミの波板などがゴチャゴチャと詰まっていました。
とりあえず、6頁の文字だけの組立て説明書を解き明かすことから始めました。まず、インチ表示がイライラするので、文脈に関係なく全部mm単位に直し、ついでに材料一覧表もmm単位に直しました。
組立て説明書と図面、材料一覧表、材料の現物を全部一緒に見ていると、これならなんとかなりそうだと思えてきましたので、まじめに組立て説明書に従って、作業を進めることにします。

①下準備(前書きとSTEP1)
最初に、壁に使う木の板材(レーザーカットされています。)と9種類49本の角材をシンナーで2倍程度に薄めたエコーモデルのSTカラーで塗装した後、 GSIクレオスの Mr.ウェザリングカラーのステインブラウンで汚しておきました。鉱石の落し口(シュート)周辺の壁は、特に入念に汚してあります。
次に幅(カットした後は長さになります。)が4種類で8枚あるアルミの波板を定尺の幅8mmにカットします。この4種類の幅の表現が6HOscale feetとか8HOscale feetのような不思議なものとなっています。ちなみに6HOscale feetは丁寧に変換表が添えられており、0.8268inchで21.0mmとなります。結局、幅8mmで長さ21mm、28mm、35mm、42mmの4種類の波板が200枚弱できあがりました。アルミの波板はかなり薄いのでカッターで簡単に切ることができます(ハサミは使うなと書いてありました。)。

②壁と屋根に波板を張る(STEP2~4)
レーザーカットされたボール紙の壁と屋根板に、縦横少しずつ重ね合わせながらアルミの波板を貼り付けます。私は、接着剤ではなく両面テープを使って貼り付けました。妻側の壁の両サイドは少し外側に張り出しておき、壁を組み立てるとき平側の壁に折りたたむようです。窓や出入り口の部分も波板で覆い、後でカットします。全部貼り終えたら、タミヤカラーのロイヤルライトグレーで着色し、 GSIクレオスの Mr.ウェザリングライナー錆色セットとMr.ウェザリングカラーのステインブラウンで汚しました。

③妻側の壁を作る(STEP5~6)
波板を貼り付けた妻側の壁にあるトロッコの出入り口に角材で縁取りをします。
レーザーカットされた板材のシュート側の壁、上下2枚を接着剤(ゼリー状の瞬間接着剤)で平らな面になるように繋ぎ、梁や柱などを角材を貼り付けて表現します。
実は、これまでの過程で困ったことが起きました。出入り口の縁取りやシュートを支える梁などに使う角材(B8)が、明らかに足りなくなると分かったのです。この他に屋根の棟や橋の支えにも使うことになっており、長さを確認したら全部で336mm必要となるはずなのに、159mm長のものが2本入っているだけで、しかもそのうちの1本は、まさに安物の割り箸のように中程が剥がれ落ちているのです。仕方なく、出入り口の縁取り以外は、手持ちの1.5mm(B8は1/16in.です。)の角材を使うことにしました。
レーザーカットされた板材の一部をカットし、シュートの枠と蓋(?)を貼り付け、最後に、アルミの波板を張った壁の上部と平らな面になるように繋いで、シュート側の壁ができあがりました。

④壁を組み立てる(STEP7~10)
壁の内側の縁に沿って角材を貼り付けて補強します。レーザーカットされた板材を使い、鉱石をシュートまで流し込むための斜めの床を作り、旨く内部に収まるのかをチェックしてから、4面の壁を接着し、斜めの床をはめて固定します。
レーザーカットされた板材の壁を組立てて、本体の壁の横に付いている小屋の壁を作り、本体の壁の横に固定します。
プラ製の窓枠と小屋の扉にMr.カラースプレーのウッドブラウンを塗り、Mr.ウェザリングカラーのステインブラウンで汚し、窓枠にOHPフィルムを貼り、それぞれの位置に固定しました。
このように作業的には、とても単純なのですが、図面と説明文の不一致(あるいは私の読解力不足。)や、テンプレートとなるはずの図面と素材の寸法が合わないなど、それなりに手こずりました。

⑤シュートを取り付ける(STEP11)
板材をカットし、鉱石を貨車に落とすためのシュートを2つ取り付けます。固定したらピアノ線をカットし、一方の端を少し曲げて角材の梁に開けた穴に差し込み、シュートを支えます。

⑥LED照明を取り付ける
このキットに照明は含まれていませんが、無いのも不便そうなので付けることにしました。照明を付ける場所は、シュートの中央上部とトロッコの出入り口上部の3カ所にしました。
カレンダーのアート紙を事務用の穴開けパンチで抜き、少し切り込みを入れて傘の形に組み、タミヤカラーのフラットアルミを塗り、中心にLEDのリードを通す0.5mmの穴を開けておきます。
使うLEDは1608チップLEDで3個を直列に繋ぎ、抵抗は計算上1/8W150Ω以上となりますが、以前使ったとき明るすぎたので手持ちの抵抗の中で一番抵抗値の大きい1/2W560Ωにしましたが、ほとんど明るさは変わりませんでした。使う電圧を12Vより低くする方が簡単です。また、このチップLEDは電球色のはずがあまりそれらしくないので、アクリル絵の具のイエローオーキサイドを塗りました。こちらは電球色らしくなったと思います。

⑦トロッコ用のレールを敷設する(STEP12)
採掘した鉱石と不要な岩石などを運ぶトロッコ用のレールを敷設します。カットした板材と角材を貼り合わせレールの基盤とし、建物の中央を貫いて固定します。このキットでは、レールも角材で作ることになっていますが、さすがにそれは無いと思い、PECOのナロー用フレキシブルレールから外したレールをゴム系接着剤で固定しました。ゲージは6.5mmにしました。
図面を見ると、不要な岩石などを鉱石運搬用の線路2本を木橋で跨いで捨て場に落す(写真右側)ようになっており、トロッコ用のレールは木橋の端から片持ち梁状に伸びた基盤上にあります。しかも、基盤の端は不要な岩石でできた山(ボタ山)の頂上で支えられています。本当にこれでトロッコ用のレールが支えられるのか不安になります。
そこで、トロッコ用のレールを木橋の端から少し張り出す程度のところで基盤ごとカットしてしまいました。
トロッコは以前作った道楽ぼーずのもので、トロッコを押している人形は栗島堂の「何かを押す男」を使いました。キットに入っている完成見本写真の真似をして、左の人形は鉱石をシュートに落とし、空になったトロッコを押して坑道に引き返すところ、右側は不要な岩石(まだトロッコに積んでいませんが)をボタ山に捨てに行くところです。人形は色を塗った後、ウェザリング用の先の尖った綿棒を白、黒、赤、茶、緑、青などのパステルにこすりつけたもので、全身を汚してあります。

⑧屋根を掛ける(STEP13~14)
建物本体に角材の棟木を固定し、アルミの波板を貼り付けた屋根板裏側の組み立てた後で見える部分にだけ垂木を固定(このやり方は、偶然私が建物を作るときのやり方と同じでした。)しました。屋根板2枚を屋根の形につなぎ合わせ、棟の隙間部分に角材をはめ込んで屋根ができあがりです。説明書ではこの後屋根を固定することになっていますが、LED照明の配線があるので、何かあった時のためにのせておくだけにしました。
建物に張り付いた小屋の屋根は固定しました。これで建物部分は完成です。

⑨橋脚を作る(STEP15)
角材をカットして橋脚を3本作ります。2本はレールを跨ぐ部分で、そのうちの1本は不要な岩石のボタ山が崩れないように止めておく壁が付いています。この壁も角材を何枚も貼り合わせて作ります。残りの1本は、鉱山側の斜面に建てるので背の低い脚となります。

⑩トラスを組む(STEP16)
橋脚と同様に角材でトラスを組みます。橋脚の間隔と整合するように微調整しながら組みました。トラスが組み上がった後、ピアノ線の支柱をトラスに開けた穴に通しておきます。トラストとピアノ線の接点に、プラ製のボルト・ナットを黒く塗り貼り付けます。
どうしてここにだけボルト・ナットなのと思っていましたが、できあがってみると適当なアクセントになっています。

⑪坑道入口を作る(STEP17)
レーザーカットされた板材と角材で坑道の入口部分を作ります。レイアウトとして整備するときは、半分以上山に埋まってしまう部分です。坑道側の端を支える柱を付け忘れていたので角材の残りで作りました。本来はSTEP15のボタ山が崩れないように止めておく壁の角材を使うことになっていましたが、足りなくなったのでレールに使うはずだった角材で代用しました。
最後に、ボタ山側のレールの先端部分に車止めの角材を固定して完成です。このキットとしては完成ですが、赤田村に合うように、建物の壁に「赤石鉱山」の看板、トロッコの出入り口の上に「安全第一」の標語を掲げておきました。

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